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JAFの趣味なページ

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砲の種類

この前は銃器を扱って、いいネタもないので続編ということで砲の種類です。

まず「砲」の定義ですが、時代や国によって違いがあるので一概には言えないのです。特に「機関銃」と「機関砲」の定義が曖昧なのですが…とにかく一般的に「砲」とつくものを並べていきます。

・野戦砲
陸上で使用されることを前提にした機動性(戦場をすばやく移動して、そんでもって使用可能な状態に展開する能力のこと)の高い砲です。機動性が高いと言っても、要するに固定されておらず砲単体で動くことができるということなのですが。

・曲射砲
野戦砲の中で弾道が大きな放物線を描く砲です。山や丘越しにも敵を攻撃可能という利点があります。大きく分けて「榴弾砲」と「臼砲(きゅうほう)」となります。

・榴弾砲
曲射砲の中では比較的ゆるい放物線を描いて弾丸が飛翔し、長射程を誇る砲です。装薬が多いので砲身にかかる負荷も大きく、それに耐えるために砲身も厚く砲基部も重くなるデメリットがありますが、長射程・高精度なので砲兵の主力になっています。
制圧が主任務で、主に榴弾(空中で爆発してその破片で殺傷する砲弾)が使用されます。
瞬間的な制圧ではロケット砲に大きく劣るものの、経済性と持続性で大きく優れているので未だにその存在価値は薄れていません。
なお榴弾砲から発射する砲弾の中にはアメリカのカッパーヘッド弾のように精密誘導が可能なものもありますが、これは例外的なものです。
米陸軍M198 155mm榴弾砲

・臼砲(きゅうほう)
曲射砲の中で大きな仰角で砲弾を発射する砲です。昔は「臼砲」が細かい分類の一つになっていて「砲身が分厚い」といった特徴もありましたが現在その意味で使われることは少ないです。
少ない装薬で比較的大きな砲弾を発射するので射程・精度は低いデメリットがありますが、砲身に負担がかからないので砲身を薄く軽く、反動が少ないので砲基部も軽量簡素で済むメリットがあります。

・平射砲
野戦砲のうち、榴弾砲よりさらに多い装薬が使用されて高初速とほぼ水平の弾道をもつ砲です。戦車砲・対戦車砲・高射砲などがこれにあたります。高い精度を誇りますが、まっすぐ見える範囲しか攻撃できず射程も短いです。

ここまでが弾道による分類です。野戦砲は用途による分類ですがここに含めさせていただきます。
続いて用途による分類です。榴弾砲は既に説明したため省略させていただきます。

・カノン砲(加濃砲)
平射砲とほぼ同義です。

・戦車砲
カノン砲のうち戦車に搭載される砲です。
現在では装弾筒付徹甲弾(APDS)・装弾筒付翼安定式徹甲弾(APFSDS)・成形炸薬弾(HEAT)・粘着榴弾(HESH)など様々な砲弾が使用可能で、口径も105mmや120mmなど大型のものが多く高初速を誇ります。
ライフリングが施された「旋条砲」がほとんどでしたが、現在では装弾筒付翼安定式徹甲弾の登場によりライフリングを施しておらず耐久や初速に優れた「滑腔砲」が多くなってきています。
M1A2戦車の120mm滑腔砲 米陸軍

・高射砲
カノン砲のうち航空機を撃墜するために設計された砲です。旧日本海軍では「高角砲」とよんでいました。
敵機の近くで爆発させてその破片で攻撃することを前提にしていますが、直撃することもあります。もちろん直撃したほうが威力は高いです。
第二次世界大戦中盤までは、発射前に発射後何秒で爆発するか設定する「時限信管」が使われ、敵機の針路・高度・速度などを計算して設定する必要があって撃破は難しかったのですが、アメリカ軍の開発した、レーダーを搭載してそのレーダーに敵機を探知すると自動的に爆発する「近接信管」の登場で飛躍的に撃墜数は高まりました。現在では対空ミサイルの発達で大分廃れてはいますが、未だ存命中です(イラク戦争の報道で空でピカピカ花火のように光っていたものがありますが、あれが高射砲弾が爆発した光です)。
対空砲火の弾幕の有効性自体は未だ衰えておりません。

・対戦車砲
カノン砲の中で、第一次世界大戦で登場した戦車の装甲を打ち抜くための砲です。野戦砲の中では機動性が低く、待ち伏せ攻撃が主な用法です。第二次世界大戦頃まで戦車に対する有効な対抗手段の一つでしたが、貫徹力が速度に影響しない成形炸薬弾の登場によって、現在では対戦車ミサイルや対戦車ロケットにとってかわられています。

・迫撃砲
分類上は臼砲にあたります。
歩兵が数人で運用し、もとは城壁越しに攻撃するためのものでしたが、第一次世界大戦の塹壕戦で支援火力として大きな効果を発揮したので、現在は大抵歩兵の管轄下にあって支援火器として使用されます。
歩兵に最も身近な間接支援で、高仰角で発射するため、ほぼ真上から落とす稜線越えの射撃が可能。一般的には内径が60mm~120mm程度のものが多いです。
構造は簡素軽量。代わりに簡便性があり低コストで、持ち運びも比較的楽です。弾の初速は遅いたので精度は低く射程も数kmと短く、また限界もあります。
しかし現在ではスウェーデンの名門ボフォース社とサーブ社が開発した精密誘導砲弾ストリックスのようなものもあります。
M224迫撃砲 米陸軍

・艦載砲
船に載っている大砲です。以上です。

・野砲
榴弾砲のうち砲兵が使う大型のもので、車輪がついていて牽引できるので移動・展開が容易です。
なお旧日本陸軍の分類ですので現在は使いません。

・山砲
山岳での運用を前提に設計された、容易に分解が可能で人力運搬の可能な榴弾砲です。
なお旧日本陸軍の分類ですので現在は使いません。


最後に構造の違いによる分類です。

・機関砲
先日紹介した機関銃の口径の大きいものです。国・時代によって基準が違いますが、一般的に20mm以上が「機関砲」、それ未満が「機関銃」でいいでしょう。
因みに旧日本陸軍では12.7mm以上が機関砲、未満が機関銃で旧日本海軍では30mm以上が機関砲でそれ未満は「機銃」でした。

・無反動砲
平射砲の範疇に入れてもいいでしょう。
通常砲弾を発射する際には大きな反動があるものですが、これは同質量の発射ガスを後方に噴射して反動を差し引きゼロにする砲です。そのために歩兵が個人でも取り扱えるという利点がありますが、構造上発射炎が盛大に出て発見されやすい上後方に大きくスペースをとる必要があり(後ろに人がいれば大火傷を負うし、狭い部屋などから発射すると最悪自分が焼かれます)射程も短いです。

・自走砲
砲にエンジンを搭載した車体を取り付け、牽引しなくても自分で移動できるようにした砲の総称です。移動・展開が従来より遥かに迅速に行えますが、コストは大幅に上がります。

・携帯ロケット砲
一般的に「バズーカ」と呼ばれるものです。砲と言うよりはロケット弾を発射するための「筒」であり、発射筒そのものには装薬を爆発させたりする仕組みはついていません。
無反動砲ほどではありませんが、後ろにスペースを確保する必要があります。因みに「バズーカ」とは本来第二次世界大戦中に米軍が使用したM1対戦車ロケットに戦場の兵士がつけた愛称ですが、現在では肩で担ぐタイプの兵器の総称となっています。しかしそれは正確ではありませんので、それバズーカちゃうのページをご覧ください。

・RPG(ロケット推進擲弾)
携帯ロケット砲に似ていますが、筒のほうも無反動砲になっておりロケット弾を射出、その後ロケット弾がロケットモーターに点火して飛翔する兵器です。丁度ロケット弾と無反動砲の折衷と言えるでしょう。発射時の音と発射炎が盛大に出るので発見されやすいです。
ソ連製のRPG-7はあまりにも有名で、不審船事件でも不審船がこれを発射しました。世界中に輸出された他ライセンス生産品・不法コピー品も大量に生産され取り扱いも容易でわずかな訓練で使えるようになるためテロリストなどの主要兵器となっています。RPG-7は成形炸薬弾を使用するのが普通ですが対人用の榴弾を使うこともでき、発射筒は再利用が可能です。
ただし電気信管を使っているため金網に当たると爆発率が50%まで落ちるらしく、アメリカ軍はベトナムにおいて戦車に金網をつけたりしてこれに対処していました。

・多連装ロケットシステム(MLRS)
車両に搭載されるタイプの大型ロケット砲です。
ロケット弾は本来榴弾砲に命中精度で劣りますが、多数の子弾をあたり一面にばらまくことによってこれを補います。多数のロケット弾を同時に発射することで榴弾砲と比較して短時間で広範囲の面を一気に制圧することができます。
ただし発射時に発生する多量の噴煙により発射位置が露呈し易い欠点があります。そして現在のこれは大変高価です。
陸上自衛隊MLRS





砲弾(おまけ)


・ストリックス精密誘導迫撃砲弾
スウェーデンのボフォース社とサーブ社が共同で開発した赤外線画像誘導式120mm迫撃砲弾です。発射手順は通常の迫撃砲弾とほとんど変わりません。
発射後一旦通常砲弾と同じく上昇し、降下時に赤外線シーカーが作動、地上の赤外線を発するもの(戦車のエンジンなど)を捉え、それにむけてスラスターを使って誘導するものです。戦車などの装甲目標は総じて上部の装甲は薄いため、大きな放物線をかいて上空から落下する120mm砲弾が当れば、例え戦車でもひとたまりもありません。
発射速度は20秒に3発、射程距離は7kmほどで、うまく使えば相当に有効な兵器となることが予想されます。


・カッパーヘッド誘導榴弾砲弾 
アメリカにおいて1970年代から開発がスタートし、1982年から部隊配備が開始された誘導榴弾砲弾です。口径はアメリカ製榴弾砲で最もポピュラーな155mmで、中央部に4枚の誘導フィンがついていて(尾部のは姿勢安定用)、それで誘導します。
基本的な使い方はレーザー照射機で目標を指示し、だいたいの方向に向けて榴弾砲から発射したカッパーヘッド弾がレーザーシーカーによって目標から反射したレーザーを捉え、それを辿るようにして命中すると言うものです。これによって本来は面制圧専門だった榴弾砲が精密射撃ができるようになっています。
湾岸戦争でもイラクの管制塔・掩蔽壕などをピンポイント砲撃して戦果を挙げていますが使用弾数は90発と非常に少ないです。その原因は射程が20kmと榴弾砲で使用するには短いこと、照準手が前線に出て目標を指示し続ける必要があること、レーザーは雲や霧によって減退するので悪天候では使用しにくいことで、中者はUAVの使用で解決できるとは思いますが、前者を解決しない限りは大幅な使用数増加には繋がらないでしょう。後者は解決の使用がありません。
よって今後も特殊高価値目標に対する狙撃任務で限定的に使われるにとどまわると思われます。
カッパーヘッド弾



とりあえず思いついたものをのせました。また思い出したら加筆します。


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